STORY歩み、仲間

2024.11.07 活動を含めての評価
グッドデザイン賞を受賞

2024年10月16日のNEWSでもご報告したとおり、山神果樹薬草園の「丸ごと皮削り®国産柚子と伊予柑のジュース」が、2024年度グッドデザイン賞(カテゴリー:一般・公共用パッケージ、主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。今回は、ここに至るまでの山神果樹薬草園の活動と思いを、改めてお伝えしたいと思います。

山神果樹薬草園を運営している松山油脂は、石けんをはじめ、スキンケアやボディケア、ヘアケアなど、毎日の暮らしに欠かせないデイリープロダクトを製造販売しています。代表製品は、国産の柚子精油を使った「柚子(ゆず)ボディローション」です。柚子そのものを強くイメージさせる香りと、みずみずしく肌になじむ使用感、手頃な価格が評価されています。

ところが、柚子精油の需要が増加する一方で、柚子生産者の高齢化等が問題となり、国産精油が入手できなくなる恐れが出てきました。そこで2020年、徳島県佐那河内村で山神果樹薬草園の活動を始めました。松山油脂は以前から、モノづくりを通して自然や社会の持続可能性を高めたいと考えていて、素材の栽培から加工、品質保証までを一貫して、自ら行なうことを目指してきたからです。

自分たちで柚子を育て、外皮から精油を抽出する。残った果肉から果汁を搾る。搾った後の残渣は、リキュールの原酒やコーディアルの材料にし、最終残渣は堆肥にする。精油の抽出を出発点として、柑橘の果実をムダなく使いきる。「丸ごと皮削り®国産柚子と伊予柑のジュース」はその過程で生まれました。

柑橘果汁を搾る場合、通常は皮を剥かずに押しつぶしています。一方、山神果樹薬草園では独自の丸ごと皮削り®製法で、まず外皮を削って精油を抽出し、その後、皮が削られた果実を押しつぶして果汁を搾っています。これが外皮由来の苦みやえぐみの原因となる成分をほとんど含まない皮なし圧搾果汁です。「丸ごと皮削り®国産柚子と伊予柑のジュース」も、皮なし圧搾柚子果汁と伊予柑果汁を混ぜてつくっています。果皮由来の苦みやえぐみがなく、すっきりした酸味が味わえます。

搾汁後に残った果実もムダにしていません。自分たちで醸造・蒸留してスピリッツにし、これを原酒にしてリキュールをつくっています。ほかにも、コーディアルやジャムの原料にもしています。使い切れなかった搾汁残渣は、シイタケ廃菌床や竹パウダーと一緒に混ぜて堆肥化し、土に還す取り組みを進めています。また、原料となる和柑橘を購入する際は、規格外のものを中心に市場価格に上乗せした金額で買い付け、生産者に適正な利益を還元する取り組みを実践しています。

このように、和柑橘を丸ごと使いきる山神果樹薬草園の活動を表すため、「丸ごと皮削り®国産柚子と伊予柑のジュース」やジャムなどに使っているロゴは、外皮、果実・果肉、果汁、種子をモチーフにしました。素朴な切り絵風のデザインです。グッドデザイン賞の受賞に際し、次のような評価をいただきました。

「国産原料と独自の製法による柑橘ジュースの魅力を端的に消費者へ伝えるパッケージである。原料の柑橘類を余すことなく使い切る製造工程をモチーフにした手触り感のあるグラフィック。それが印刷されたモノトーンのラベルでボトルを包むことで橙色が際立ち、商品の新鮮さや美味しさへの期待感を高めている。持続的な社会や柑橘生産者への経済還元への配慮も含め優れた商品展開と言える」

 

ロゴのデザインを、山神果樹薬草園の活動も含めて評価していただけたことは、私たちにとって大きな喜びと励みになりました。同時に、いつも応援してくださっている皆様に、心からの感謝が湧き上がりました。受賞の栄誉と皆様のお気持ちに恥じぬよう、初心を忘れずに皆で努力を続けていくつもりです。