STORY歩み、仲間

2024.02.01 リキュール責任者のバトンタッチ

2023年12月、山神果樹薬草園の「柑橘リキュール」製造責任者が替わりました。通常のローテーションとは異なり、前任者の松山油脂富士河口湖工場への帰任に伴うバトンタッチです。そこで今回は、前任者である渡辺航太とそれを支えてきた現責任者・尾崎愛に、想いを語り合ってもらいました。

尾崎 航太さん、山梨県の富士河口湖工場から徳島県の佐那河内村に赴任されるのは大変だったんじゃないですか。

渡辺 よくそう言われるけれど、松山油脂がつくる山神果樹薬草園、その立ち上げに抜擢されて、ワクワクのほうが大きかったんだ。決まったことをするより、何か新しいことにチャレンジしたいと感じていた時期だったんだね。尾崎さんはどんなきっかけで山神果樹薬草園に入ってくれたの?

尾崎 以前は調理の仕事をしていたんですが、毎日淡々と作業をこなすことにやりがいを失いつつありました。そんなとき、地元の佐那河内村に松山油脂の事業所ができると聞いて、ワクワクしてしまって。実際に入ってからは、農園の仕事とジュースやジャムの製造、同時にかかわれて、とても楽しかった!

渡辺 でも厳しいこともあったでしょう。

尾崎 初めて機械を動かして、丸ごと皮削り(R)の精油を抽出したときは忘れられないですね。全員が初めてのことで、何をどうしていいのかわからなかったことを思い出します。時間もずいぶんかかりましたね。

渡辺 初めて精油が搾り出されてきたのを見て、みんなで泣いてしまったよね。

渡辺 リキュールが完成するまでも一緒に苦労したね。

尾崎 発酵液の仕込み、蒸留の補助、試作品の充填、加熱処理。色々なことをしましたね。

渡辺 柚子は香酸柑橘だし、搾汁後の果実では発酵しないと専門家の方に助言されたけれど、きび砂糖と酵母を使って試作を重ねたら発酵して。あれはうれしかったなぁ。

尾崎 専門家の方も驚いていましたね。私も試作に加わっていて、酵母菌の違いでリキュールの香りや口当たりが変わることがわかって、とても楽しい経験でした。

渡辺 僕はお酒が好きで、高アルコールのリキュールを出したいと思っていた。それを「柑橘リキュール柚子25%」で実現できて、とてもうれしかった。さらに賞(※)までいただいて、二重にうれしかったね。
※「フェミナリーズ世界ワインコンクール2023」日本リキュール部門金賞受賞

尾崎 リキュール製造の工程を、航太さんが確立してくれたおかげで、柚子に続いて伊予柑、すだち、檸檬と新たな製品に横展開することができました。それでも「柑橘リキュール柚子25%」が一番好きですね。柚子果汁の味だけではなく、柚子を使った原酒の味と香りがよくわかるんです。思い入れもあるし。

渡辺 僕の帰任が正式に決まって、リキュール製造の責任者を引き継ぐと決まった時は、どんな想いだったんだろう。

尾崎 航太さんがされていた仕事を全部引き継げるのか、とても不安でした。スケジュール調整や各事業所間との情報共有も担当されていたし。何より、アルコールを蒸留して原酒を抽出するときの感覚の鋭さ! でも、「私に任せてもらえるんだ!」って、うれしい気持ちもあったんですよ。

渡辺 それなら安心した。尾崎さんは数字が苦手だから大丈夫かなと心配していたんだ(笑)。ただ、尾崎さんががんばり屋だから、周りのみんなもきっと支えになってくれるはず、という確信もあった。現にそうなっているね。

尾崎 航太さんが確立してくれた工程や品質管理も、もっとよくできると思っているんです。守るべきところは守って、改善できるところは改善していきたいと思います。

渡辺 何か新しい製品の構想はあるの?

尾崎 目標は柚子とすだちを使ったミックスリキュールをつくることです。すだちが持っているスパイシーな香りを閉じ込めたような、あの原酒をもっと生かしたいと思っています。そして、地元の方に召し上がっていただきたいですね。カフェやファクトリーショップにも気軽に立ち寄っていただいて、山神果樹薬草園のことをもっと知っていただきたいと思っています。

最後に尾崎から皆様に。

「柑橘リキュールをいつも愛飲していただき、ありがとうございます。品質を維持向上して、ますます安心で美味しいリキュールをお届けしたいと思っています。機会があれば、山神果樹薬草園にぜひお越しください」