2021.04.27
食べ物を無駄なく丸ごと
柚子の内皮もジャムの素材に
山神果樹薬草園では、日本では稀有なペラトリーチェという方式で精油を抽出しています。金属製の爪で外皮だけを強く掻き取りながら、表面のボコボコとした油胞をつぶして精油を取り出す、という方式です。外皮を取り除いた果実からは果汁を搾ります。そして、搾った後の内皮や繊維質も、無駄にすることなく食べ切るために、ジャムとドレッシングを製品化することにしました。
山神果樹薬草園では、日本では稀有なペラトリーチェという方式で精油を抽出しています。金属製の爪で外皮だけを強く掻き取りながら、表面のボコボコとした油胞をつぶして精油を取り出す、という方式です。外皮を取り除いた果実からは果汁を搾ります。そして、搾った後の内皮や繊維質も、無駄にすることなく食べ切るために、ジャムとドレッシングを製品化することにしました。
レシピは2020年から、松山油脂富士河口湖工場の食品工房であるファクトリーラボで開発しています。最初にできたのは「柚子と蜂蜜のジャム」です。柚子の内皮をやわらかく煮てから柚子果汁を加え、てんさい糖や蜂蜜でほどよい甘みをつけて仕上げます。外皮の成分がほとんど入っていない、ほのかな苦みも感じにくいレシピです。
開発の時には、おいしさや栄養面だけでなく、食べる人のこともイメージしたと、ファクトリーラボのスタッフ・櫻井澄重は言います。「想像したのは農園のスタッフです。夕日をバックに、髪をなびかせながら颯爽と、和柑橘の畑を歩いて事務所に戻ってくる。今日も頑張った人たちに『お疲れさまでした』と言いながら、ジャムをのせたちょっとしたおやつを出す。そんなことができたらいいな、と思いました」
ふだんは山梨県富士河口湖町で勤務している櫻井ですが、ジャムのつくり方のポイントを伝えるため、山神果樹薬草園にやってきました。「農園には颯爽と働くスタッフが何人もいました。朝から剪定をしたり、苗木の植えたりと忙しく、でも楽しそうにはつらつと動き回っていました。そんな頼もしいスタッフに、真新しい調理室でジャムのつくり方を伝えました。初めて会うスタッフと、初めて使う機器に囲まれて私も少し緊張しましたが、工程が進むにつれ、甘酸っぱい香りが立ち上がると、表情がほぐれたように思います。できたてのジャムはクラッカーにのせて試食してもらいました」
現在、山神果樹薬草園では、柚子と蜂蜜のジャムに加え「鳴門金時と完熟すだちのジャム」もつくっています。また、「丸ごと皮削り国産柚子のしぼり酢」をベースにした「フレンチドレッシング」「ごま中華ドレッシング」「たまねぎドレッシング」も製品化しました(ドレッシングは冷蔵品のため、ファクトリーショップでお買い求めいただいています)。山神果樹薬草園は、これからもファクトリーラボと連携しながら、地元の素材を生かした、果物や野菜を丸ごと食べられるジャムやドレッシングをつくり、身体を内側からすこやかに保つお手伝いをしていきます。