STORY歩み、仲間

2021.02.05 糖度13.9
木成り晩熟みかんの可能性

山神果樹薬草園の農園には、40本あまりのみかんの木があります。「十万温州(じゅうまんうんしゅう)」という晩熟系のみかんです。「貯蔵みかんの王様」(収穫後、一定期間保管してから出荷されるみかん)と呼ばれ、さわやかな酸味が際立つ早生みかんとは、一味も二味も違います。農園では、木で完熟するのを待ってから実を収穫しています。今年はたび重なる寒波にも耐えて糖度はなんと13.9度。メロンや桃と同じくらいにまで甘くなりました。

そのまま食べても十分においしい完熟の十万温州。収穫量が多かったので、試しにジュースにもしてみました。その味といったら! 敢えて表現するとしても「甘さが濃い」としか言いようがありません。市販の濃縮還元タイプのジュースとはまったく異なります。とにかく、わかっていただくには、実際に飲んでいただくほかにないような「濃い味」なのです。このジュースのおいしさを発見したのは山神果樹薬草園のスタッフ。みかんを家に持ち帰り、搾って飲んでみたところ驚きのおいしさで、さっそく他のスタッフに教えてくれた、というわけなのです。さらにおいしくできないかと、柚子の果汁を少し足してみたところ、ほどよく酸味が加わり、すっきりした甘さになりました。

こんなにおいしい農園のみかんですが、見た目はお世辞にもきれいとは言えません。大きさは不揃いですし、減農薬栽培のため、皮に大きなキズがついているものもあります。皮はごつごつと硬く、むきづらいので、食べるには少し面倒です。そんなところで気が引けて、せっかく収穫したみかんも、例年は松山油脂の墨田本社・工場と富士河口湖工場に送るだけにしていました。ところが、両事業所のスタッフからは「甘さに驚いた」「こんなに濃厚なみかんは初めて」といったおいしさの感想が寄せられるばかり。見た目については、誰からも否定的な声はありません。見た目は私たちの杞憂で、それよりももっと大きな価値がある。農園のみかんの可能性に気づかされました。現在、山神果樹薬草園のみかんを何らかの形で皆さんにもお届けできないか、スタッフがアイデアを出し合っています。始められるのは来季になりますが、詳細が決まりましたら当ウェブサイトでお知らせします。どうぞお楽しみに。